アロマテラピーとは
オシャレで手軽なリラックスの方法として人気の高いアロマテラピーですが、そもそもアロマテラピーとはアロマ(芳香)とテラピー(療法)というフランス語を組み合わせたもので芳香療法ともいわれています。
また、アロマテラピーとは、植物から抽出した香り成分である精油を使って、心身のトラブルを穏やかに回復し、健康や美容に役立てていく自然療法と定義されています。
そもそもフランスの科学者であるルネ=モーリス・ガットフォセが著書において「Aromathérapie」というタイトルで使ったのが始まりであり、この本によってアロマテラピーの概念が広がって、現在のアロマテラピーの基礎になっているのです。
アロマテラピーに使うオイルとは
アロマテラピーは、人の心身に有用な効果をもたらす成分を含む植物の主に花や茎、葉、根などの様々な部位から100パーセント純粋なオイルを抽出して、そのオイルの芳香成分を利用して心身をケアします。
この抽出されたオイルは精油(エッセンシャルオイル)と呼ばれており、数十から数百もの芳香成分が含まれています。有効成分が高濃度に含まれていることから、植物の成分がぎゅっと詰まった芳香成分です。
もっとも、この精油(エッセンシャルオイル)は簡単に蒸発してしまうことから、保存する場合には注意して保存するようにしましょう。
精油(エッセンシャルオイル)の選び方とは
日本でもアロマテラピーのブームとともに、精油も簡単に手に入れられるようになりましたが、日本では精油は雑貨品扱いなので医薬品のような厳しい規制がないことから、品質もピンからキリまであるのが現状です。
精油(エッセンシャルオイル)の香りの成分が鼻や肌から体内に侵入し、心身に作用することを考えれば、どのような精油(エッセンシャルオイル)を選ぶのかが重要になってきます。
特に、アロマテラピーは医学に基づいて行われている療法ではなく、補完療法の一つに分類されていることから、個人で行う民間療法であることを認識して行う必要があるので、自己判断で有害な精油(エッセンシャルオイル)を選んでしまう危険性があるのです。
日本で精油(エッセンシャルオイル)を選ぶ場合には、混ぜ物のない100パーセント天然由来で原材料も農薬を使用していない有機農法で作成されているものを選ぶようにしましょう。
また、原料植物の学名や抽出方法、製造年月日がしっかりと明記されていることも重要です。保存しているビンも、中身が劣化していないように光を通しにくい遮光ビンに入っているものを選ぶべきです。
ちなみに、精油(エッセンシャルオイル)は100パーセント天然の材料を使用していないといけないことから、化学香料などの混ぜ物を使用しているものは、精油(エッセンシャルオイル)の表示ができないことから、アロマオイルといった表示になります。
精油(エッセンシャルオイル)の使い方とは
精油(エッセンシャルオイル)の入った遮光ビンを開けると、通常ドロッパーと呼ばれる1滴ずつ出る仕組みになっています。精油の種類によっては何滴も出てくるものや中々出てこないものもあるので、最初は注意して出すようにしましょう。
このドロッパーから出る一滴は、およそ0.05mlとなっているので、5mlのサイズのビンでも100滴ほど使用できることになります。
精油(エッセンシャルオイル)は、植物から抽出されているといっても成分が濃縮されていることから、基本的にはキャリアオイルなどで1パーセント以下の濃度にしてから使用します。この希釈したものをアロマテラピーではブレンドオイルと呼びますが、別にアロマオイルとも呼ぶこともあります。
希釈する場合には、保存する清潔な遮光ビンを用意し、キャリアオイルを計量して入れた後に、精油(エッセンシャルオイル)を加えてよく混ぜ合わせます。
キャリアオイルの様々な種類とは
ここで、キャリアオイルにも様々な種類があり、保湿や殺菌、抗炎症など色々な効果があることから、目的にあったキャリアオイルを選ぶようにしましょう。
ホホバオイル
ホホバとは、カリフォルニアやメキシコなどの砂漠に生息している植物です。ホホバオイルは、酸化しにくく品質が安定しています。
ホホバオイルの使用感としては、さっぱりしているのが特徴で、保湿成分も高く、肌になじみやすいことから幅広い肌質の方に使われています。
肌の乾燥や肌荒れ対策、髪や頭皮に潤いを与えるたい場合によく使用されます。
マカダミアナッツオイル
ヤマモガシ科マカダミア属の種子から抽出されたオイルで、ナッツの香りがほのかに香ります。
マカダミアナッツオイルには、オレイン酸とパルミトレイン酸を多く含んでいます。マカダミアナッツオイルをマッサージで使用した場合には、高い浸透力で肌に浸透し、パルミトレイン酸が乾燥肌や成熟肌に効果を発揮してくれます。
マカダミアナッツオイルは、肌への浸透力が高く、ベタつきがあまりないので、乾燥が気になる季節には使いかたオイルです。
スイートアーモンドオイル
アーモンドの木は中東が原産で、現在では世界の温暖な気候の場所で栽培されています。
スイートアーモンドオイルは、水分や栄養分を肌の中に閉じ込める効果があるので乾燥肌を保湿するとともに、メラニン細胞を作るメラノサイトの育成を抑制する効果があることから、肌の美白効果も期待できます。
滑らかな肌触りで肌に馴染みやすく、ほのかにアーモンドの香りがありとろみがあるオイルです。
月見草油(イブニングプリムローズオイル)
月見草オイルには、植物としては珍しくγ-リノレン酸を多く含んでいます。
このγ-リノレン酸は、免疫力を向上させ、アトピー性皮膚炎やアレルギー反応を鎮めて、肌荒れを滑らかにする効果が期待できます。
また、粘性がありますが非常に伸びのよいオイルです。しかし、γ-リノレン酸は光や熱、酸素によって急速に劣化してしまうことから、開封後1ヶ月以内に使い切るようにしましょう。
精油(エッセンシャルオイル)の使用の注意点とは
皮膚に塗ったりマッサージに使用する場合には、安全に使用するためにも事前にパッチテストを行いましょう。パッチテストの方法は、ひじの内側に1円玉程度の大きさで使用する濃度の精油を散布したのちに、24時間様子を見て赤みやはれ、かゆみなどが出た場合には、大量の水で洗い使用を中止するようにします。
また、レモンやグレープフルーツ、ベルガモットなどの精油(エッセンシャルオイル)は、紫外線に反応する光毒性を有していることから、使用後6時間から半日ほどは紫外線を避けるようにしましょう。紫外線にあたってしまうと、かゆみや赤みが発生することがあるからです。
精油(エッセンシャルオイル)が植物由来だからといって、直接飲んでしまってもいけません。精油を飲んでしまった場合には、水で口をすすいで精油を吐き出し、医師の診断を受けるようにしましょう。
同様に、赤ちゃんや妊娠中の方、高齢の方なども精油(エッセンシャルオイル)の種類や濃度によっては注意が必要なので、専門家に相談したりよく調べてから使用するようにしましょう。
精油は時間によって変化しやすい性質をもっていることから、開封した場合には光や熱の影響の少ない場所に補完し、早い段階で使い切るようにしましょう。特に柑橘系は早めに使用することが必要です。
アロマテラピーの様々な方法とは
芳香浴
芳香浴とは、精油(エッセンシャルオイル)の香りを空間に広げて楽しむ方法で、アロマポットやアロマライト、ディフューザーなどで精油の香りを空気中に拡散させるアロマテラピーの代表的な方法です。
部屋を精油の良い香りに包ませることで、気分転換をはかったりストレス解消やリラックス効果を得たいときに用いられます。
アロマオイルをキャンドルで温めて使うアロマポットを使用する場合には、上部のお皿に水を7~8分程度まで入れて、そこに精油を1~5滴ほどたらして熱することで香りを楽しむことができます。香りがたちやすく比較的安価でできるのですが、キャンドルを使用することから、火の取り扱いには注意が必要です。
最近多いのが気化式または超音波式ディフューザーですが、この気化式・超音波式ディフィーザーは水を使わずにアロマオイルだけを細かい粒子にして拡散することから、アロマオイル本来の香りをそのまま部屋に広げることができます。タイマーつきやライトつきなど様々な機能を備えているものもあります。
これらは基本室内で香りを楽しむものですが、外出にも香りを楽しみたい場合には、ハンカチに精油を1~2滴落として使う方法が便利です。好きなときに取り出して使うことができることから、外出先で匂いが気になる場合や気分が優れない場合などにハンカチを取り出して使うことで、気分を落ち着かせることができます。
ハンカチにたらして使う場合、濃い色の精油や柑橘系の精油はハンカチにシミを作ってしまうことがあることから、使用前に確認して使うことにしましょう。
花粉シーズンや冬にはマスクをしている人も多いですが、マスクに精油を1滴垂らして使う方法もあります。ただし、マスクの外側に使い、肌に直接触れないようにしましょう。
アロマトリートメント(マッサージ)
精油(エッセンシャルオイル)をキャリアオイルで希釈してマッサージオイルを作り、身体のマッサージを行う方法です。
精油を直接肌につけると刺激が強いことから、植物性のホホバオイルやスイートアーモンドオイルといったキャリアオイルで濃度を1パーセント以下に希釈して用います。
身体に直接触れることになることから、肌が敏感な方であったりアレルギー体質の人の場合には、特定の精油があわなかったり過度な刺激となってしまうことがあるので、パッチテストをしてから使用するようにしましょう。
パッチテストのやり方は、精油(エッセンシャルオイル)をキャリアオイルで1パーセント以下に希釈したものを腕に内側の部分に散布し、24時間以上放置します。特に何もおきなければ問題ありませんが、皮膚に赤みやかゆみが出た場合にはすぐに大量の水で洗い流すようにしましょう。その精油は身体にあわないということなので、使用することは控えましょう。
アロママッサージのやり方としては、トリートメントオイルを適量手にとって両手になじませます。トリートメントしたい部位に薄くのばして、もんだりさすったりしてマッサージを行います。基本は心臓に遠いほうから心臓に向かってマッサージをすると、リンパの流れが良くなりむくみもとることができておすすめです。
上手くマッサージをすると十分な精神的リラックス効果をもたらしますし、皮膚から精油(エッセンシャルオイル)の成分を体内に浸透させることができることから、高いアロマテラピー効果を得ることができます。
使ったトリートメントオイルが余った場合には、防腐剤などが含まれていないことから、あまり保存がきかないので、遮光ビンなどに保存し2週間程度で使ってしまうようにしましょう。
沐浴法
湯船に精油を落として入るアロマバスのように、精油を入れたお湯に全身又は身体の一部を入れる方法で、鼻から香りを楽しむ芳香浴を楽しむとともに、精油の成分が身体に直接浸透するする効果と入浴のリラックス・血行促進効果の相乗効果が期待できます。
やり方は、お湯をはった湯船に精油(エッセンシャルオイル)を1~5滴ほど落とし、よくかき混ぜてから入浴します。あまり多く入れすぎると、匂いで気持ちわるくなってしまったり、肌がかゆくなってしまったりするので、精油の入れすぎに注意しましょう。
肩までつかる全身浴法では、循環器系や呼吸器系に負担があることから、そのような症状が気になる方やお年寄りの方などはみぞおちくらいまでお湯に浸かる半身浴で行うのが良いです。
沐浴法で用いる精油の種類も、リラックスしたい場合にはラベンダーやカモミール、リフレッシュしたい場合にはグレープフルーツやレモンなど、目的にあった製油を用いると効果倍増です。
沐浴法と同様の方法として、手浴や足浴もあります。洗面器に40度程度のお湯を張って精油を1~3滴ほどたらして、手や足をつけることによって行う方法です。
最近ではパソコンで手を酷使する人が多いですから、手をお湯につけることによって血行が良くなり手の疲労が軽減したり、肩こりが軽減したり、手の肌が綺麗になる効果が期待できます。
足浴の場合には、足の血行が良くなることによって慢性的な冷え症改善効果が期待できるので、冬場の寒い時期などにはおすすめです。
マウスウォッシュ
殺菌消毒作用を有している精油をたらして、その水でうがいをすることとによって口臭や歯肉炎予防に効果があります。
コップ1杯の水に精油(エッセンシャルオイル)を1、2滴たらして、口内をすすぐ方法で行います。
使用する精油は、レモンやペパーミントなどがおすすめです。口内に炎症がある場合には、タイムやディートリーなどを使用しましょう。
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