活性酸素が発生する仕組みとは
金属がさびついたり食物をほっておくと茶色くなったりするのは、酸化による効果なのですが、私達の体の内部においてもこの酸化の現象が起きています。そして、この体内において絶えず酸化がおき続けていることが、私達の全身の細胞を老化させる原因となっているのです。
このように、私達の全身の細胞が酸化してしまう原因となっているのが活性酸素です。
この活性酸素は、私達が生きるうえで欠かすことのできない呼吸によって生じています。具体的には、私達は1日に呼吸によって1000リットル以上の酸素を体内に取り入れており、この呼吸によって体内に取り込まれた酸素は、血液中のヘモグロビンという物質に渡されて、血管を通って全身に運ばれ、この酸素を使って食事で摂取した栄養素を燃やしてエネルギーを作り出しています。このようにして、酸素を体内に取り入れて日々生体活動を行っているのですが、この取り入れた酸素の数パーセントが活性酸素に変化してしまうのです。
また、活性酸素を発生させる原因は呼吸だけではなく、日常生活の中で日々私達がさらされている大気汚染や紫外線、食物などに含まれる化学物質、農薬などの様々な悪要因も活性酸素を増やしてしまいます。さらに、喫煙や睡眠不足などの生活習慣や、強いストレス状況下にあっても活性酸素は増加してしまうのです。
活性酸素の特徴と健康に及ぼす悪影響とは
活性酸素の特徴としては、強い攻撃性を持っていることから、本来体内に細菌が侵入してきた場合には白血球とともに活性酸素も細菌を攻撃して撃退していくのですが、活性酸素が体内で必要以上に増加してしまった場合には進入してきた細菌だけではなく、健康な細胞が攻撃の対象となってしまうのです。
がん細胞
こうして増加しすぎた活性酸素によって細胞が攻撃されると、細胞の核の遺伝子が傷つけられて、細胞が変異したり死滅してしまったりします。このとき、細胞の中にあるDNAが破壊されることによってがん細胞が生じる危険性もあるのです。
動脈硬化
これだけではなく、さらに活性酸素の増加が厄介なのが、活性酸素が悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールを酸化させることによって、過酸化脂質という体にとって悪い脂質を発生させてしまうことです。
この過酸化脂質は、体内に長く蓄積されない活性酸素と異なり、体内に長く留まることによって蓄積されていきます。そして、体内に過酸化脂質が長年にわたり蓄積されていくと、血管内部に過酸化脂質が堆積し、動脈硬化の原因となるのです。
脳梗塞、心筋梗塞
また、動脈硬化が進行し、血流の流れが阻害させてしまった場合には、脳梗塞や心筋梗塞などの命にかかわる症状につながることもあります。
肌のシワ・タルミ
さらに、皮膚が酸化してできた過酸化脂質によって皮膚の細胞が傷つけられてしまうことによって、お肌のシミやシワなどが増加して肌の老化にもつながってしまいます。
肝炎
私達が摂取したアルコールや食品添加物を肝臓において分解する時に、活性酸素が発生します。この時に発生した活性酸素が、肝臓の細胞にダメージをあたえると肝炎を引きこすもとになってしまいます。
白内障
紫外線を体に浴びた場合に発生する活性酸素によって、目の内部においてレンズの役割をはたしている水晶体が酸化させられて、水晶体が濁ってしまうことによって白内障になってしまいます。
この白内障になってしまうと、目がつかれやすくなってしまったり、明るいところで物がみえずらくなってしまいます。
加齢に伴う活性酸素の増加理由
活性酸素が増加しすぎないように、本来私達の体には余分な活性酸素を除去するために、SOD(スーパーオキサイドディスムターゼ)やカタラーゼと呼ばれる抗酸化酵素を持っています。
この抗酸化酵素によって、体内で発生した余分な活性酸素は酸素を奪い取られ攻撃力を奪われるので、無毒化されているのです。つまり、こうした抗酸化のシステムがしっかりと体の中で機能している場合には、体がさびることなく健康な体を維持することが可能です。
しかし、このSODを代表とする抗酸化酵素は他の抗酸化酵素と同様に、20代をピークとして次第に減少していってしまいます。体内でSODを生成する力それ自体は40歳前後から低下が始まり、50代後半ともなると20代の半分程度まで減少してしまうのです。
このように、体内で発生する活性酸素の量は変わらないにも関わらず、加齢に伴って活性酸素に対抗するための抗酸化酵素の量が減少してしまうことから、若いことと同様の生活をしている場合でも、活性酸素が体内で増加し続けてしまうので体の老化が加速してしまうことになります。
体のさびるのを防いで老化を阻止するためには、体内の活性酸素の量を増やさないことが重要になってくるのです。
活性酸素を増加させないための対処法とは
禁煙をする
体内の活性酸素を増加させる原因としては様々なものがあるのですが、特に原因となるのは煙草です。
煙草の煙には、活性酸素だけではなく活性酸素の発生を助ける様々な有害物質を多く含んでいます。そして、喫煙をすることで体内の細胞を傷つけてしまい、老化のスピードを速めてしまうのです。煙草を吸っている人は見た目年齢が老けて見える人が多いのは、このためです。
活性酸素を増加させないためにも、煙草は吸わないようにしましょう。
激しい運動をしない
運動をすると体に良いという一面もあるのですが、マラソンのように長時間体を動かしたり、ボクシングのように激しく殴りあうスポーツなどは体に大きなストレスをかけることになることから、大量の活性酸素を発生させてしまいます。
また、単純にあまりに激しい運動をした場合には、呼吸量が増大することから活性酸素が通常よりも増加しやすくなります。
運動をする場合には、ウォーキングなどの軽めの運動に抑えておき、あまりに激しい運動などは控えるようにしましょう。
ストレスをためすぎない
先ほどの過度な運動の他にも、通常の人間関係や仕事関係での過度なストレスが長期間続く状況下は活性酸素の発生を増大させてしまいます。
ストレスによって交感神経と副交感神経のバランスが崩れたり血流が悪くなったりすることで、活性酸素が増大してしまうのです。
なるべくストレスのかからない環境下で生活するとともに、自分なりのストレス発散法を見つけてストレスフリーな生活をしましょう。
過度に紫外線を浴びすぎない
太陽の光を浴びることは、私達にとって体内時計をリセットしたりビタミンを合成したりするなど有益な効果も多いのですが、太陽の光を浴びると日に焼けるだけではなく、皮膚の内部に活性酸素が増大してしまいます。
この太陽の光によって皮膚にできた活性酸素は、シミやシワを増加させお肌の弾力を失わせてしまうのです。
UVカットの入った防止やサングラスをかけたり、長時間外出する場合にはUVカットの日焼け止めなどをつけるなどして紫外線を防ぐことによって、活性酸素の増加を防ぎましょう。
抗酸化作用を持つ栄養素を含んだ食物を食べる
活性酸素によって体がさびついてしまうことへの対処法として、体の酸化を抑える抗酸化力を有する栄養素を摂取することが重要です。このような栄養素を摂取して抗酸化力を高めることによって、活性酸素の発生を抑制したり体の酸化によるダメージを修復することができるのです。
ビタミンC
ビタミンの中で最も有名で、風邪予防や美肌効果で知られるビタミンCですが、活性酸素に対抗する抗酸化作用も有しています。ビタミンCは、ビタミンEやβカロテンなどと協力しながら活性酸素を撃退してくれるのです。
さらに、ビタミンCは活性酸素を発生させる原因となるストレスから身を守ってくれる働きを有してします。これは、人間は心理的ストレスだけではなく、病気や激しい運動といった肉体的ダメージを受けた場合に、ビタミンCが消費されるのですが、これは、抗ストレスホルモンであるアドレナリンが分泌される際にビタミンCが関わっているからなのです。
このように重要な働きを持つビタミンCですが、人間は体内で生成することができないことから、食べ物で摂取するようにしましょう。
私達が一日に必要なビタミンCの量は、最低でも50ミリグラムですが、100ミリグラムは取るようにしましょう。みかんなら4個程度、いちごなら11粒程度です。
ビタミンE
ビタミンEの抗酸化作用は、細胞や血液が酸化することで起こるといわれている心臓病、がん、動脈硬化、脳卒中、白内障などのの症状を防ぐことができます。
また、アルツハイマー型認知症は多量の活性酸素の発生によって脳内が害され続けた結果、神経細胞が死滅して脳が萎縮して起こることから、ビタミンEの抗酸化作用はこうしたアルツハイマー型認知症の予防にも効果があります。
このような効果を持つビタミンEの1日の摂取量の目安は、成人女性で7~8ミリグラム、成人男性で7~9ミリグラムだといわれています。ビタミンEは、ナッツ類や植物油、大豆、緑黄色野菜などに多くふくまれていることから、 ビタミンEを摂取したい人はこれらの食材を積極的に摂取するようにしましょう。
コエンザイムQ10
細菌化粧品や健康食品などで名前を知られるようになったコエンザイムQ10ですが、コエンザイムQ10には食事から取り込んだ栄養をエネルギーに変える働きの他にも、ビタミンCやビタミンE以上の効果を持つといわれる抗酸化作用を有しています。
しかも、抗酸化力を持つビタミンEは、コエンザイムQ10がないとその抗酸化パワーを発揮できないのです。さらに、ミトコンドリアの中に入ることのできる抗酸化物質は、コエンザイムQ10だけですので、コエンザイムQ10の摂取が重要になってきます。
このコエンザイムQ10は、食べ物で摂取することができ、牛肉や豚肉、イワシやサバなどの青魚、大豆などの豆類に多く含まれています。コエンザイムQ10の体内の量は、20代をピークとして減少していくことから、加齢するにしたがってコエンザイムQ10を積極的にとるようにしましょう。
αリポ酸
αリポ酸は、食事で摂取した炭水化物を糖に変えてエネルギーとして燃焼させる働きをしているのですが、同時に非常に高い抗酸化能力を有しています。
その抗酸化作用は、ビタミンCやビタミンEの約400倍とも言われており、分子が非常に小さいことから、水にも脂にも溶けて体のすみずみまで行きわたって抗酸化作用を発揮してくれるのです。
また、αリポ酸には体内の活性酸素を除去するために働きまわったビタミンCやコエンザイムQ10を、もう一度働くことができるようにリサイクルする働きもあるのです。
このような有効な効果を持つαリポ酸ですが、食べ物で摂取使用とした場合には、食物に微量しか入っていないことから非常に困難です。そこで、αリポ酸を摂取する場合には、サプリメントを利用して上手に体内に摂取するようにしましょう。
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